hittyのブログ

ちょっと調子の悪いオヤジのネット起業奮戦記

えんぴつ

ご来訪いただき、有難うございます!


むかし、或るエンタメ系の専門学校で

コンピュータ・ゲーム科の顧問をして

いた頃がありました。アニメーション

科の顧問の先生で某有名アニメーター

さんがいました。


本当に、ものすごく絵が上手です。


生徒が描く絵は止まっています。


その先生が描くと一枚絵なのに動きが

あるんです。どうして同じ絵を描いて

も、こんなに違うんだろうと思って見

ていました。


すると、その先生は言いました。


「同じ絵、という前提が違ってるだけ

なんですよ。言葉の違いです。同じキ

ャラを描いてるんですけどそのキャラ

は、こんな動き方をする、とか、こう

いうふうな表情をする、とか、生徒よ

りキャラのコトを知ってるだけなんで

す。それと、デッサンを描いて来た年

季の違いです。だから、絵が上手いん

じゃないんです。そのキャラの描き方

が違うんです」


なるほど…と納得しながら聴いていま

した。生徒の前で、そのアニメーター

さんは、わたしに訊いて来ました。


「先生だったら、生徒の描いたこの絵

と僕の描いたこの絵の2枚を見たら、

何をみんなに伝えますか?」


少し考えて、わたしは答えました。


「この2枚の絵は、同じえんぴつで描

かれたモノだ、って言うことかなあ」


生徒たちは、とても驚いていました。


「この2枚の絵から、作品じゃなくて

鉛筆に行きますか?それはスゲー!」


何がスゴイのか、わたしにはよくわか

らなくて、アニメーターさんを見ると

その先生は、嬉しそうに生徒を見なが

ら、わたしに向き直って言いました。


「この学院で学んで社会に出たら、業

界で食って行けるのがわかっただろう

?。先生は実際にモノを売るコンサル

もやっていらっしゃる。パソコンのソ

フトウェアを売らずに使わせる方法も

考えてくれた。バンドルって言葉は知

ってるか?。むかし、大々的に告知し

たいタイトルを売るんじゃなくてただ

でパソコンのデフォルト状態で見られ

るようにしてくれたおかげで、結果と

して莫大な売り上げを叩き出してくれ

たことがあるんだ。キミ達は絵を見れ

ば絵としてしか見えない。作品のコト

しか考えない。でも、社会でそれを売

るためには、何を売り物にして何を渡

せば売れるのかを考えるプロも居るん

だ。同じ鉛筆で、こんなふうにも描け

る、と見せられれば、そうなるために

は何を学べばいいのか、『教育』まで

売れる。我々はコンテンツを作る側だ

けれど、実はいろいろな人の手を借り

て売れる作品は作られて行くんだ」


このアニメーターさんは只者じゃない

と思いましたが、このアニメーターは

クリエイターであり、社長さんなので

した。その後、彼のスタジオのコンサ

ルも頼まれました。


同じ鉛筆で描かれた2枚の絵。その絵

を描いた人が違う。同じ鉛筆でもこん

なに上手にも描ける。何が違うのか?


同じキャラを描いても、描く人に見え

てる世界が違うんです。そのキャラに

似せて描こうとする人もいれば、その

キャラが動いて見えてる人も居る。


動いて見えてる人は、紙を見た時に、

写真のように既に作品の出来上がりが

見えていて、鉛筆で必要な線をなぞる

だけと言う感覚なんだそうです。


だから、嘘のように速い。彼らは円を

フリーハンドで描いても、コンパスで

描いたように丸く描けるという必殺技

を持っています。


懐かしい思い出ですが、そういう気付

きをあなたとシェアすると、あなたの

ヒントになるかも知れないと思って、

書いてみました。


何かあなたのプラスになってくれたら

嬉しいです(^o^)。