hittyのブログ

ちょっと調子の悪いオヤジのネット起業奮戦記

「先生」「仕事」「人間は思っているコトしか言葉にならない」

ご来訪いただき、有難うございます!


前回も長文にお付き合いくださり、あ

りがとうございました。


何人かの読者さんから、コメントやメ

ッセージ、メール等で、「失礼のない

接し方」の所で、「ありのままの自分

で接する」というくだりにとても納得

しました、で、他にもそういうhittyさ

んがたどり着いた答えを集めた記事が

読みたいです、というようなコトを言

っていただいたので、久しぶりに政府

批判の無い記事を書きます。


わたしが、そういうコトを考えるキッ

カケになった言葉が「先生」でした。


わたしは幼稚園には行っていません。

ちょうど幼稚園にあがるコトになって

いた場所から、自治体が変わってしま

う所への引越が5月末にあり、2か月

弱の通園じゃ可哀想だから…、と親が

入園させなかったので、集団生活の始

まりは小学校からでした。


ですから、初めて「先生」という呼称

を使ったのは小学1年生の時でした。


そして、いきなり違和感を持ちました。


テレビ等で、先生と言われている人達

は、時代劇なら用心棒の腕の立つ侍で

すし、現代劇なら弁護士や医者や政治

家が先生と呼ばれています。ですから

学校の先生は、何か腕の立つジャンル

があるか、難しい資格を持っているか

だと思っていた訳です。で、訊いてみ

ました。最初の担任は若い女の先生で

「先生はどんな分野で腕が立つの?そ

れとも難しい資格を持ってるの?」と

訊いたんです。すると先生は、


「厳しい質問だね。特に腕の立つ分野

はないかな?強いて言えば、創作ダン

スかな?で、資格は教職免許は持って

るよ。でも難しい資格じゃないかも。

どうして、こういう質問をしたの?」


と訊き返されました。で、時代劇と現

代劇の話をして、だから、学校の先生

はどっちなんだろう?と思って…と言

うと、先生はあははは(^○^)と笑って


「先生って、先に生まれた人って意味

だよね?だから、君達より先に生まれ

てるから『先生』でいいんじゃない?」


と言うんです。わたしは、「だって、

おばあちゃんやお隣のおばさん達も先

に生まれてるけど、先生じゃないよ。

それに、政治家のボンボンで後を継い

だ息子が議員になったら、年上のオジ

サン達が『先生、先生!』って言うよ

ね?だから、先に生まれたから先生は

違うんじゃないの?」


と食い下がりました。先生は、


「あら、そうだね。先に生まれただけ

じゃ先生とは言わないのかも知れない

ね。じゃあ、どういう人が『先生』な

のか、hitty君が小学生のうちに見つけ

てごらん」


と6年間の宿題を出されました。この

最初の宿題が、長い時間を与えられた

超ラッキーな人生初の宿題だったなあ

…と、今にしてみれば思います。たぶ

んこの言葉が心にいつも引っ掛かって

いたおかげで、あらゆる言葉に引っ掛

かりました。


次に引っ掛かった言葉が「仕事」。こ

れは大学生の時に答えを見つけました。

もちろん、小学生の時にはその時点で

の答えは持っていました。「国や会社

や人に仕える事」。でも、どうしても

納得する所まで行かない仮の答えでし

た。或る時「プロ」と「アマチュア」

の違いを考えていて、技術的なコトや

仕事の内容で優れている人がプロなの

かな?でも、アマチュアでも、プロよ

り強い碁打ちも居るしなあ…等と考え

ているうちに、とてもピッタリ来る答

えを見つけました。その仕事を頼まれ

て、最短で納品出来る人をプロと言う。


例えば、画家さんに娘の肖像画を描い

て欲しい、と頼んだら「3年後まで予

定が埋まってるので、3年後からの着

手になりますが、それで良ければ…」

という返事をもらったとします。他の

誰に描いてもらってもいいのであれば

他の画家さんに頼むでしょうが、どう

してもその画家さんに描いて欲しけれ

ば3年後まで待つしかありません。つ

まり、3年後に着手という条件が最短

な訳です。


例えば、大谷翔平選手が大好きな人は

ホームランも打てば三振もする大谷翔

平選手の一挙手一投足を見るために、

球場に足を運びます。試合に出てくれ

るだけで、彼は仕事をしている訳だし、

仮に休んだって、より良いプレーをす

るための休養だと考えれば、それも仕

事のうちですよね?ましてや登板日に

でも当たれば、益々彼の魅力に惹かれ

て行くコトでしょう。


ただ、上記2つの例は「指名」或いは

「特名」と言われる種類の仕事に対す

る答えです。実はコンサルタント等の

「トップセールス」と言われる形態の

仕事も同じです。


ただ、普通のサラリーマンのプロって

居ないんだろうか?きっと居る筈だ!

と思って調べているウチに、企業の一

員と、自分自身が看板になっている仕

事は、そもそも仕事の性格が違うコト

に気が付きました。何故なら、企業と

して受ける仕事にはあらかじめ納期が

設定されていて、その仕事にかかるメ

ンバーと作業の割り振りを管理する、

いわば「管理のプロ」がチーム内に居

れば全ての人がプロでなくても納期に

間に合う仕組みになっているコトに気

付いた訳です。


それに比べて、アマチュアは気に入っ

たモノが出来たら発表したり、キッチ

リした目標というより、完成の目安に

近付ける努力をしていればいい立場と

いうんでしょうか?自由度の高い状態

がアマチュアなんじゃないか?


そう思った時、一つのアイディアが浮

かびました。仕事って、天に仕える事

なんじゃないか?例えば、国や企業や

人に仕える、というコトは、国にして

も企業にしても、結局上司やトップと

いう「人」に仕えるコトでしかないだ

ろう、という事実に気付いてしまった

訳です。人に仕えるから間違うのです。

上司やトップの考える国や企業という

のは、結局国や企業だけのコトを目先

のクリアすべき課題を達成するための

方法論として優先するために、間違う

訳です。ならば、「人」ではなく「天」

に仕える事が仕事なんじゃないか?


天に仕える事を仕事にしている人は、

その仕事自体が「天職」の筈です。つ

まり、天と自分が作り出す仕事だから

誰かの思いに引っ張られるコトが極小

になります。更に、芸術家やアーティ

ストと言われる人がそうであるように

ファンが付いてしまえば、その人の心

の中にある作品を作って行くコトで、

喜んでもらえるという最高の環境を作

るコトも可能になります。


天に仕える事が出来れば天職なんだ。


それに気付いた時、「仕事」という言

葉に対する答えが見つかった、と思い

ました。天に仕える事。だから悪い事

をしている場合、天職とは言えません

よね?ゆえに、現在の政治屋は仕事を

していないのに、国民の命を守るコト

さえせず、高額な給料だけは取ってい

る詐欺師軍団としか、わたしの定義で

は言えません。ただし、風俗嬢とか、

誰かを救っている仕事は立派な仕事だ

と思います。世界最古の職業ですし。


あ、小学校を卒業する時、1年生の時

に出された宿題を何と答えたか?を書

いておきますね。


「『師』の口語版が『先生』だと思い

ます。なので、生徒が何処か尊敬出来

る所を持っているのが最低限の基準で

す。紙に書いてココが尊敬ポイントと

言えなくても、存在から与えられる安

心感とか、分け隔てなく生徒と向き合

う姿勢とか、何でもいいんです。でも

残念ながら、尊敬出来る所のある先生

は4人しか居ませんでした。うち一人

は養護教諭の先生でした。M先生(こ

の宿題を出した女の先生です)の宿題

のおかげで小学校の6年間、先生達を

評価する側として過ごしました。凄く

いろいろな意味で学びが多かったです。

ちなみにM先生も4人の中のお一人で

す」


M先生は「参考として、後お二人は誰

か、教えてくれない?自分でも、よく

考えてみたいから…」と言われました

が、「それは言わぬが花でしょう」と

お茶を濁しておきました。その時、M

先生から言われたのは「どっちが先生

だか、よく解らないね。あははは」で

した(^○^)。


社会人になって、証券会社に就職して

配属された支店の営業課長がとてもイ

ヤな奴で、何かコトあるごとに、

「誰から給料もらってると思てんねん

!だから言うコト聞けや‼︎」

という口癖を持つ男でした。そのくせ

自分は仕事が出来ず、彼の言うコトを

聞いていたらまず成績は伸びません。


逆に、当時わたしの同期はその支店に

わたしを含めて3人おり、その新人達

のリーダーは、入社3年目なのに凄く

仕事が出来て、面白い先輩でした。彼

は自分のノルマを達成した後、課長の

未達の数字を助けてあげたりしていま

した。


わたしはその頃、新人達だけの社員寮

に住んでいたので、他の支店の状況を

或る程度、聞いていました。他の支店

では課長が入社3年目くらいの人の分

までは自分のノルマに上乗せして数字

を積み上げてくれるモノらしい。だか

ら部下達が自分のノルマを達成すると

支店の成績がグーンと上がる仕組みな

んだよ、と聞いていました。だから、

多少口うるさくても、みんなが内心尊

敬しているので、そのお叱言も拝聴す

る空気が出来ているんだそうです。ウ

チの支店では望むべくもない話です。

いつも3年目の社員に尻を拭ってもら

っているのが課長なんですから。


或る月、投資信託の数字がわたし達3

人とも未達で、リーダーに現状報告を

したところ、リーダーから、

「もうすぐ投信の締切が来るから、今

のうちに早く帰って英気を養っておけ

よ。お疲れ様!」

と言われ、3人で帰ろうとしたら、そ

の課長が


「おまえら、よう帰れるなあ。給料、

誰からもろてると思とんじゃ!」


というので、わたしは


「お客様からです。そのお金が回り回

って会社から支給されていますが、わ

たし達がお客様から戴くお金が無かっ

たら、会社だって給料は払ってくれな

いと思います」


と返事しました。同期の2人は青ざめ

ています。課長は、


「だったらおまえには給料やらん!新

人は一番早く来て一番遅く帰って先輩

達の姿を見て仕事を覚えるモンと昔か

ら決まっとる!今から帰るコトを優先

しているようじゃ先が思いやられるな

あ!」


と言った途端、支店長が咳払いをしま

した。そして、


「T(課長の名です)、どの口がそん

な御大層なコトを言っているんだ!彼

らは自分達のリーダーから今のうちに

英気を養っておけ、と言われた上で帰

りの挨拶をしたら、何だ?その因縁の

付け方は?人の心配をしている暇があ

ったら、それこそ自分のノルマくらい

達成してみせたらどうだ?」


と言ってくれて、我々3人の方を見て


「おまえら、何か用事はあるのか?も

し時間があるなら俺に付き合え」


と 近くにある美味しい焼き鳥屋さん

に連れて行ってくれました。もちろん

3人とも付いて行きました。焼き鳥の

注文は、支店長がわたし達に、


「何か好きなモノがあったら言ってく

れ。俺は適当に見繕ってもらうから」


と言ってくれたので、


「わたしはレバーと白」とわたし。

「僕はモモとカワ」と最年少。

「僕はハツとぼんじり」と中間。


わたし達同期3人は、大学に最年少は

現役、中間は一浪、わたしは二浪だっ

たので、みんな歳の違う同期でした。

なので、最初のあだ名は最年少が現役、

中間が一浪、わたしは二浪と書いて、

「ジロウ」と呼ばれていました。或る

飲み屋では、わたしが名刺を渡すまで

名前がジロウだと思われていたくらい

です。


支店長が、店の人を呼んで、


「レバーと白とモモとカワとハツとぼ

んじりを4本ずつ入れて合計40本、適

当に見繕ってちょーだい。飲み物はと

りあえずナマ4つでいいかい?」


と注文してくれてビールが届くと乾杯

して、支店長が話し始めました。


「おまえらは知らないだろうから一応

教えておく。T(課長のコトです)が

最初に居た支店では、毎晩夜遅くまで

飲んで帰るのが当たり前だったそうだ。

で、酔っ払って帰って出来た子が酩酊

児だったそうだ。四国の田舎だから、

いい病院も無かったそうだ。で、人事

が気を利かして研修部付きというコト

で東京に呼んで、治療し易い環境を作

ってやった。だからヤツは今も首都圏

営業部のこの支店に居る。他の支店の

課長より多少劣っても、お子さんのた

めに何とか今の状態を守りたいんだ。

だから、協力してやって欲しい」


と言うと、ジョッキを空け、お店の人

に「〆張鶴を冷やで。おまえらも好き

なのを頼んでな」と言って、


「Y(わたしのコトです)、さっきの

おまえが言った給料は誰からもらって

いるのか?という答え、あれはおまえ

が言ったあの考え方が俺も好きだ。だ

から、おまえはそのままやって行けば

いい。Tは成績が落ち込んだ時、人事

に『例え、数字が上がらなくても会社

は給料を社員に払う義務がある』って

掛け合ったコトがあってな。人事部長

が彼の息子さんに掛かる病院の費用を

減らしたら可哀想だ、と温情裁定を下

したコトがあったんだ。それ以来給料

は会社から貰っているんだ、と強く思

い込むようになった。だから許してや

ってくれ」


そう言いながら、支店長は頭を下げま

した。わたしは、


「支店長、頭を上げてください。よく

解りましたし、別にあの程度のコトを

根に持ったりしませんから…」


と言うと、支店長は頭を上げて笑い出

しました。


「おまえらは、何かデッカいコトをや

る奴等だ!って、あの花見の日から、

みんな言ってるんだ。あの口うるさい

課長と新人がやり合うとは考えたコト

が無かったなあー。おまえらは、3人

揃うと、本当に面白いもんなあ…。あ

ははは」


ちょっと長い思い出話を挿入します。


我々が入社した年、4/8が花見の日

に決まっていました。支店の近くの飛

鳥山公園でやるコトになっていました。

もちろん場所取りは新人のわたし達で

す。


その日は前の日の夜から大雪で、30cm

くらい積もっていました。我々は早朝

の4時くらいに電話をし合い、


「会社に出社するより場所取りに行か

ない?会社に『一番いい所がよりどり

みどりです!』って電話したら、怒ら

れて面白いぞ。誰がどんな性格か一番

解るよね!あははは」


「それ、いい。僕もサボリたい!」


「俺もサボリたいからジロウに1票!」


という訳で、


「電車もちゃんと動かないだろうから

交通手段はどうする?」


というと、


「場所取りは5時からって言われたか

ら、僕は今、実家に居るから親父の車

で迎えに行くよ。2人とも寮でしょ?

飛鳥山公園までも近いし、クルマがベ

ストでしょ?」


と現役が言うので、 


「チェーンとか巻いた?」


と訊くと、


「えへへ。昨夜のうちに親父に巻いて

もらったから大丈夫」


「事故らないように安全第一でおいで

よ。じゃあ、待ってる」


我々が大学生の頃、クルマを持ってい

る奴等はマイカーでスキーに行くのが

当たり前の時代だったので、現在ほど

雪道でも心配しなかったんですよね。

まして現役は、大学時代、シーズン・

スポーツのサークルに入っていて、春

と秋はテニス、夏はサーフィン、冬は

スキーをやるサークルだった、と聞い

て居たので、雪道には慣れているのを

何度か聞いていました。


という訳で、彼が5:30頃、寮に到着し

て雪は更に降っているので、真っ白で

センターラインも見えない道を飛鳥山

公園目指して走りました。近くのパー

キングにクルマを止めて、8:00までの

1時間15分ほど、真っ白な飛鳥山公園

の真綿のような雪の中で、雪合戦をし

たり、雪だるまを作ったりして遊びま

した。しかも、スーツ姿で…。そして

8:00。会社に電話をする時刻!わたし

が、新人のリーダーの黒電話に直通で

掛けようか?というと、2人とも、


「支店の代表電話に掛けて誰がどう繋

ぐのか?っていう所も面白そう!」


とワクワクした顔をするので、代表電

話に掛けました。飛鳥山公園の入口に

ある緑の公衆電話からです。


「はい。〇〇証券です」


とCL(カウンターレディー)の声。


「あ、Yですけど、営業部に繋いでい

ただけますか?」


「あ、ジロウくん。さっき上で新人達

が居ないって騒いでたけど…。もしか

して、飛鳥山公園?」


「はい。一番いい場所がよりどりみど

りです!」


音声がスピーカーでみんなに聞こえる

状態になっていたらしく、後ろでCL達

がドーッと笑う声…。


「ちょっと待っててね」


……。


「おまえら飛鳥山公園に行ってるの?

あははは、ご苦労様。今朝は久しぶり

にコンピュータ起動から信用残の打ち

出し、新聞配りまで2年生の2人(わ

たし達の一つ上の先輩達)とやったよ。

たまにはイイもんだなあ。風邪ひかな

い内に戻って来いよ。あ、ちょっと待

って…」


と、新人のリーダーが笑いを堪えなが

らハスキーな声で言いました。すると


「バカモーン!こんな雪の中で花見や

る訳ないやないか!すぐに戻って来い

や!頭おかしいんやないか!あ、はい。

ちょい待て…」


と課長のダミ声が怒鳴ります。少し待

っていると、


「あのなー、おまえらなあ、バカなの

?じゃあ、俺もバカに付き合うか…。

そこにはクルマで行ったんか?」


と支店長の声です。


「あ、はい。現役のお父さんの車で来

ました。もちろん現役の運転で3人と

もココに居ます」


「じゃあ、もし、桜の枝が折れて落ち

てるのがあれば、それを一枝持って来

てくれないか?くれぐれも言っておく

がこれから折るなら要らないからな。

落ちてたら、でいい。桜切るバカ、梅

切らぬバカと言ってな、桜は傷付ける

と木そのモノが痛んでしまう。おまえ

らのバカに相乗りして、予定通り、午

後は支店内で花見をしたら楽しそうだ

ろう?花見と雪見を同時に出来るなん

て風流だからな。現役に赤羽に来たら

駐車場に停めて来いって伝えてくれ。

後で飲むから出庫は明日になる。駐車

場代は俺が出すから心配するなって言

ってくれ。風邪をひかないようにクル

マは暖かくしてこっちに来い。だけど

前日に指示されていた通り、場所取り

に行ったコト自体はおまえらが正しい。

おまえらを叱るなら、雪が積もり始め

た時点で、明日は花見は中止だって連

絡した人間が言うならいい。ただ常識

的に中止だと思ったヤツが偉そうに文

句だけ言うのは違うよな?だからおま

えらが帰って来た時、その件は謝らせ

るから安心して帰って来い!おまえら

のおかげで、今日、花見が出来るんだ

からな。あははは」


それから、わたし達は管理事務所に行

き、その職員さんと、折れた枝があっ

たらもらうコトを許可されたので、一

緒に探しました。かなりの雪だったの

で、折れてる枝はたくさんありました。

その中で一番大きくて花もたくさん付

いているヤツを貰ってクルマで運びま

した。


支店に着くと、3人で持つような枝ぶ

りのいい桜の枝を、支店長に指示され

5階のミディーさん達の部屋へ運びま

した。その枝をカッコよくレイアウト

すると、支店長が、


「これは銀座の高級クラブの花見イベ

ントのようだなあ…。おまえらの突拍

子もない行動のおかげで、今年はいい

花見が出来そうだ!」


と喜んでくれました。3階の営業部へ

戻ると、まず、課長が


「すまんかったなあ。支店長に絞られ

たわ。確かに支店長のおっしゃる通り

や。勘弁してくれ」


と少しムッとしながら…、でもどこか

少し恥ずかしそうに言っていました。


その隣のシマから、リーダーが


「今日は午前で営業は終わりだから、

おまえらは午後の花見に向けて、何か

芸を考えておけ。6階の大宮さんの部

屋を使わせてもらって仕込んどけよ」


と突然言われました。2年生の先輩達

に訊くと、


「俺達は、モノマネをやった。課長代

理がスナックで歌う『シーズンインザ

サン』が特徴的で凄く受けた。相方は

支店長の歌う銀恋のマネしたけど、支

店長の方が歌が上手いから、笑われた

感じ?支店内のモノマネは、いいぞ」


というアドバイスをもらいました。わ

たし達3人で相談すると、


「入社以降一番面白かったのは、今日

の出来事だよな」


というコトになり、わたしが台本を書

いて、3人がそれぞれ、現役はリーダ

ー、一浪が課長、わたしが支店長のモ

ノマネをするコトにして、台本を読み

ながらのコント風の芝居をするコトに

しました。


その日は土曜日で午前のみ営業という

時代です。仕事が終わり、店を閉め、

女性陣はみんな私服に着替えて5階に

集まると華やかで本当にクラブのよう

です。ミディーさんにCL、事務の女性

合わせて47名、営業の男性10名、事務

の男性2人の59名が一堂に会し、まず

は支店長の挨拶から。


「今年の新人達の、常軌を逸した行動

のおかげで、銀座の高級クラブでもな

かなか無いような艶やかで綺麗な桜と

雪を見ながらのお花見会を開催出来る

運びとなりました。少なくとも赤羽で

は一番の素敵な花見だと思います。女

性陣の美しさにも磨きがかかって最高

ですし、飲んで食べて、心ゆくまで楽

しんでください」


司会は2年生達。「では、最初の出し

物は新人達による『コント 花見』で

す。コイツらは存在してるだけで面白

いので、期待しましょう」


……雪はしんしんと降り積もります。

まだ開けていない真っ暗な4時。外は

雪で白っぽい景観が見えています。


「もしもし、あ、ジロウ?今朝はどう

する?」


「会社に出社するより場所取りに行か

ない?〜〜」


と、先程書いたようなくだりに移りま

す。実は支店内の方は同期の女性陣に

協力を求めました。同期の女性は7人

居たので、CLがドーッと沸いた所や、

電話を取り次いでくれたCLの所など、

数カ所、手伝ってもらいました。


で、電話をした所から、モノマネが始

まります。


「おまえら飛鳥山公園に行ってるの?

あははは。〜〜」


現役にリーダーのモノマネの仕方を6

階で一浪と2人で教えました。息を吐

きながら喋ると似ます。最初はあまり

似ていなかったんですが、もうすぐ花

見会が始まる直前から、急に似始めま

した。彼は日頃からウケるモノマネが

一つありました。大宮さんが出社して

来る時の真似です。当時、株式部が各

支店の場電(株式のまとまった注文を

入れる時等に注文で一刻を争う場合、

機械入力だと遅いので、場電から銘柄

と株数と買い方ーー成り行きなのか指

値なのかーーの3項目だけ伝えるセク

ション)とのマイクテストを場が始ま

る前に行う時間があって、株式部の場

電さんが「赤羽さん、よろしくお願い

します」の次に、「大宮さん」という

タイミングで、大宮さんが「うぃーす」

と入って来るのがツボにハマって、よ

く真似をしていました。しかも、或る

日、現役が丁度トイレに行こうと階段

を降りて行ったら、大宮さんは、場電

で、赤羽さ〜んと声が掛かるまで2階

と3階の間で時間を潰していて、赤羽

さ〜ん、と声が掛かるのを聞いて3階

に上がって来るので、いつも絶妙なタ

イミングで「大宮さ〜ん」「うぃーす」

が成立していたコトを知り、本当に、

ハマりまくっていました。なので現役

がモノマネでそれは絶対やりたい!と

言うので、株式部の女性、場電さんと

同期の女性陣に頼んで、支店長の枝拾

いの話の後、


ナレーション「その頃、支店では…」


「赤羽さ〜ん、よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


「大宮さ〜ん」現役「うぃーす」


というフィクション項目も足しました。


ちなみに大宮さんとは、支店付きの社

用車の運転手さんです。営業はみんな

お世話になっています。お客さんが3

千万円以上、出金する際には、必ず大

宮さんの運転でお金を持って行きます。


盗難防止や、支店長の同行訪問等で活

躍する人なんですが、とにかくどんな

時でも人を穏やかにする笑顔の持ち主

でした。さすがに、この日は雪で外出

する先輩方も居なかったので、わたし

が台本を書いてる間も、ずーっと、


「で、それからどうなったの?」


と興味津々という感じで聞いてくれる

ので、わたしも100%内容を思い出す

コトが出来て、面白い台本が書けまし

た。


現役の、リーダーのハスキーボイスの

モノマネは爆笑。大宮さんは大爆笑!


一浪の、課長のダミ声のモノマネは、

大爆笑!課長が謝るシーンでは本当に

課長が言っているようで大大爆笑!


わたしの、支店長の上品なハイトーン

のモノマネは、大大爆笑‼︎


「今年の新人は個性的で本当に面白い」


といきなり人気者になりました。


或るミディーさんが、


「あのなあ、おまえらなあ、バカなの

?のキミ、こっち来て一緒に飲もう!」


と声を掛けてくれて、そこに行くとわ

たしの膝の上に座る人が居たり、


「あなたの大学の先輩がこの支店に2

人居るでしょう?」


「はい。2年生のI先輩と事務2年生

のKさんですよね。でも、Kさんは大学

の1年後輩だったんですが、短期大学

部だったので、社会人では1年追い越

されました」


「あ、それでかあ…。飲み会の席でジ

ロウ君がKって呼び捨てにしてたから

あの2人は付き合ってたんじゃないか

?って噂が広がってたんだよ」


「いえいえ、違いますよ。Kさんって

呼んだら、『飲み会でY先輩にさん付

けで呼ばれるとなんか変な感じなんで

いつも通りの呼び方にしてください』

って言われたから、そうしたんです」


「じゃあフリーなの?わたし、狙っち

ゃおうかな?」


というと、Kが近くに来て、


「ダメですよ。Yさんには素敵な彼女

が居て、いつも大学の中、一緒に歩い

てましたから。違う大学なのに…」


というと、


「いい男は、常に売約済みなのよねー。

今日のコントの台本、あなたが書いた

んでしょう?本当に面白かった。ずー

っと笑ってた」


と、ミディーさん達の情報の速さに驚

かされました。誰からの情報ですか?

と訊くと、「大宮さん」という返事。

納得しました(^○^)。


なぜ、こんな思い出話を長々としたの

か?


実は、この日に、「人間は思っている

コトしか言葉にならない」という事実

を実感したからです。


リーダーの発言は、雪の寒い中、ご苦

労様と思っていなければ、この言葉は

出ません。それに、少しだけ呆れた感

じが、久しぶりに新人の作業を手伝っ

たコトで伝わって来ました。


課長の発言は、ただ部下を見下してい

るから出た言葉。


支店長の発言は、部下の行動を適切に

評価するのと同時に、今ある状況をど

うするのが一番みんなに取って良い状

況に転化出来るのかをちょっと茶目っ

気を持って考えている人の言葉。


そして、それぞれの人が口にする言葉

は、その考え方の中で一番短い言葉を

選んでいる、という事実。だから35年

も昔の話を今でもハッキリ思い出せる

訳です。


それに、大宮さんの笑顔。人の能力を

伸ばす力を持っています。


そういう素敵な人達のおかげで、今の

わたしが在ります。


今回は、「先生」という言葉について

の私見、「仕事」という言葉が本質的

に持つ意味の考察、「人間は思ってい

るコトしか言葉にならない」という気

付き、の3つを取り上げてみました。


何か少しでも参考になれば、幸いです。